アルティメットを始める君へ(11)


出会い(11)
中学校から始めたゴルフは田舎では有効な遊びだ。人口も多く多世代と交流できるし、プレーフィーも安い。平日だったら5,000円以下、お昼付きで3,000円というコースもあるし、休みの日でも7,500円程度。その後の懇親会も焼き肉食べて、たらふく飲んで1人3,000円というお店もある。田舎暮らしはお金が掛からないのだ。学習塾を始めたぼくは、ゴルフをしたりお酒を飲んだり田舎暮らしを満喫していた。毎日仕事が終わると幼馴染の家にお邪魔して毎晩遅くまで飲んだ。いい迷惑だったと反省している。自慢にならないが1人でウィスキーのボトルを1本一晩で空けてしまったこともあった。おまけに、母が作ってくれていたごはんもおいしく、毎食毎食腹12分目まで食べているという節操のない生活をしていた。次第に増えた体重は72kg、体脂肪率はなんと33%。ウェストは85cmあったんじゃなかろうか。おじさん路線まっしぐらだった。
ある日、新聞に第2回アルティメット大会の案内が載っていた。場所は本郷町(現、会津美里町本郷地区)。ぼくが住んでいる下郷町から会津若松までの途中で車で30分という近場だ。アルティメット大会というだけで驚くが第2回というのにも驚いた。飛び上がる気持ちで早速主催の本郷公民館にアポを取って大会へ出かけた。行ってみると誰も経験者が居なかったが、試合らしきことはしていた。嬉しかったし、地元でアルテができることがとても不思議だった。大会で出会った人たちと話しているうちに、少し北に行った北会津地区でも中学生に教えている先生がいるという。ぼくはさらに小躍りしたくなった。
その後、本郷地区のフィットネス本郷という総合型地域スポーツクラブでアルティメットを教えることになり、北会津へもお邪魔するようになった。
初めての人たちと一緒にアルテをするようになって、改めて初めての人たちにパスを投げる時にはよくよく気をつけなくてはいけないと感じた。グローブも普及していない時代だったから、普通に投げられたディスクは結構痛いからだ。練習には家族連れも多く、お母さんや子どもに投げることが多くなる。如何に体感スピード”0”でパスを取ってもらうかに神経を使った。この経験がぼくの技術を格段にアップさせた。
学生時代からただパスが通れば良いと思っていたわけではなかった。パスを取る人の癖、例えば、普通のパスはキャッチミスするが膝元の早い角度のついたディスクは絶対に落とさないなど常にディスクのスピード、角度、場所を気にしてパスを投げていた。その癖がついていたからできたことかもしれない。ダッシュでミートに来る小学1年生にウルトラスターを取らせることがいかに難しいか一度試して欲しい。今は、ミックスでアルテをすることが普通になりつつあるから男子が女子に投げる時に、感じられるかもしれない。
フィットネス本郷の練習には、なぜか会津大学の学生も参加していた。楽しそうにアルテをしていた彼らに『サークル作ってみなよ』と持ちかけた。
数日後、福島県で初の大学アルティメットサークル『会津大学Dualboot』が誕生した。

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